Last Updated on 11月 30, 2025 by kakehasi
はじめに
交通事故をきっかけに首の痛みや可動域の制限が残り、数年経っても改善しないというご相談をいただくことがあります。なかには背中にまで痛みが広がるケースも見られます。長期間にわたる首の不調は、日常生活にも大きく影響します。
西洋医学的立場から
『病気がみえる 運動器・整形外科』（編集：医療情報科学研究所／メディックメディア）によれば、むち打ち症は「外傷性頸部症候群（頚椎捻挫）」として説明されています。
「一般に、画像検査で異常は認めずに頸部の疼痛やしびれ、可動域制限、頭痛や耳鳴、悪心など様々な症状を呈するが、症状の多くは数週間で徐々に軽減する。」
交通事故後は、症状が軽くても必ず医療機関を受診することが大切です。保険会社から説明を受けた際は、内容をしっかり確認し、必要に応じてリハビリや通院を継続しましょう。
東洋医学的立場から
『新版 東洋医学臨床論（はりきゅう編）』（南江堂）には、次のような記載があります。
「主に外傷によって瘀血が生じ、経絡を阻滞させて気血の流れが通じなくなると頸肩腕痛が起こる。」
つまり、打撲や衝撃によって体内の血（けつ）の巡りが滞ることが原因とされています。ここで言う「血」は、西洋医学の血液とはやや異なり、身体全体を巡る栄養・生命エネルギーのような概念を指します。
当院の鍼灸治療
単純な外傷による血流の滞りであれば、自然と回復していくケースも多いですが、数年以上にわたって症状が続く方の場合、別の要因が隠れていることがあります。
私の臨床経験では、慢性的なむち打ち症の方の多くに督脈（とくみゃく）の乱れが見られます。督脈は背骨に沿って流れる経絡であり、その不調が首や背中の痛みとして現れるのです。
当院では、五臓六腑のバランスを整える施術に加え、この督脈の調整を行うことで、自然治癒力を高める事を目標としています。
まとめ
交通事故後の首の痛みがなかなか取れない方や、治療を続けても十分な改善が見られなかった方は、ぜひ当院の鍼灸をお試しください。誠実にサポートさせていただきます。
執筆者
寺田 りょう（鍼灸師／言語聴覚士）
名古屋市南区「かけはしはり灸院」院長。
東洋医学に基づいた伝統鍼灸と、西洋医学的なリハビリ知見を融合させ、心身のバランスを整える施術を行っています。