Last Updated on 11月 30, 2025 by kakehasi
はじめに
バセドウ病の方は動悸や頻脈など、さまざまな症状が現れるため、大変な思いをされることが多いです。一旦、緩解に至った方でも再発の心配に悩まされることもあります。また、甲状腺に対する手術後や放射線による治療後に特有の症状に悩まされる方もいます。
西洋医学的立場からの甲状腺機能亢進症・バセドウ病の解説
病気がみえるVol.3 糖尿病・代謝・内分泌（医療情報科学研究所）によれば、甲状腺機能亢進症とは「甲状腺ホルモンが過剰に分泌される疾患の総称であり、最も頻度が高い疾患はBasedow病である」とされています。
またBasedow病については「びまん性甲状腺腫を伴った甲状腺機能亢進症であり、甲状腺に対する自己抗体であるTSH受容体抗体（TRAb）を認める自己免疫疾患である」と記載されています。
簡単に言うと、甲状腺は首にあり、新陳代謝を促進するホルモンを産生しています。それが自己免疫疾患の影響で、自らホルモンを過剰に産生してしまう疾患がバセドウ病です。
同著では好発年齢を「20～40歳代の女性」としていますが、男性にも起こる可能性があります。症状としては「びまん性甲状腺腫、眼球突出、頻脈、動悸、息切れ、全身倦怠感、体重減少、発汗亢進」などが挙げられています。
気になる症状がある方は医療機関に相談し、首の触診（甲状腺の腫れ）を医師に診てもらうとよいでしょう。
東洋医学的立場からの甲状腺機能亢進症・バセドウ病の解説
『よくわかる奇経治療』（たにぐち書店）によれば、甲状腺の疾患は奇経治療の観点からみると「基本的には、足の厥陰脈、陰蹻脈と衝脈である」とされています。
奇経治療について簡単に説明すると、奇経に対して「正経」という概念があります。通常の鍼灸では正経を使って五臓六腑の調整を行いますが、正経の気血が過剰に亢進すると奇経に影響を及ぼすことがあり、その場合は奇経治療が必要になります。
当院の甲状腺機能亢進症・バセドウ病に対する鍼灸治療
当院では、まず正経を用いた鍼灸治療で五臓六腑の調和を図り、生命力の強化を行います。しかし、奇経に影響が及んでいる場合は、前述のとおり奇経治療を念入りに実施します。
病院での治療も大切ですが、鍼灸を併用することで、より体全体のバランスを整えることが期待できます。
また、医師から「服薬の必要性まではない」と診断された方も、鍼灸による全身のバランスを整える事は可能です。お気軽にご相談ください。
執筆者
寺田 りょう（鍼灸師／言語聴覚士）
名古屋市南区「かけはしはり灸院」院長。
東洋医学に基づいた伝統鍼灸と、現代的な解剖学・リハビリの視点を融合させ、心身のバランスを整える施術を行っています。
出典
- 病気がみえるVol.3 糖尿病・代謝・内分泌（医療情報科学研究所）
- よくわかる奇経治療（たにぐち書店）