発達障害児への鍼灸(小児はり)│名古屋南区のかけはしはり灸院


Last Updated on 1月 30, 2026 by kakehasi

はじめに(発達障害について)

2004年に発達障害者支援法が施行され、2016年にはさらに改正されました。
そのため、昔と比べて社会的な理解は高まってきていると感じます。

私は鍼灸師と同時に、言語聴覚士の国家資格を持っています。
言語聴覚士は言葉のリハビリを行う専門職であるため、
言葉の遅れについてご質問を受けることも多くあります。

言葉の遅れは、専門的には「言語発達障害」と「構音障害」の2つに大きく分けられます。
極めて簡単に言うと、構音障害は発音そのものがうまくいかない障害です。
発音に関わる舌などに問題がある場合もあれば、
明確な原因が分からないケースもあります。

一方、言語発達障害は言葉の獲得そのものに問題が生じている状態です。
もちろん、両方が併存している場合もあります。

また、親御様だけでなく、教育や保育に関わる方々とお話しする中で、
発達障害は近年クローズアップされることが増え、
課題を抱えながら仕事に向き合っているという声を耳にします。

社会的・西洋医学的立場からみる発達障害

発達障害とひとくくりにしても、その内容はさまざまです。
発達障害者支援法には定義が記されており、
第2条では以下のように示されています。

出典:発達障害者支援法 第2条
「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、
注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、
その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」

また、この法律を根拠に、各地域で発達障害者支援センターが運営されています。
不安や悩みがある場合は、まずこうした機関に相談し、
利用できる社会的支援やサービスを紹介してもらうことが大切です。
医師による診断前であっても、利用できる支援を知ることで、
今後の見通しが立ち、安心につながることもあります。

私の経験では、保育士さんが子どもの様子について気づきを持っていても、
それを率直に親御様へ伝えることをためらっているケースも見受けられます。
不安がある場合は、一度尋ねてみることも一つの選択肢だと思います。

発達障害に対する西洋医学的支援にはさまざまなものがあります。
医師による診断はもちろんですが、
例えばADHDについては以下のように述べられています。

出典:『言語発達障害学 第3版』 医学書院
「環境調整、行動療法、薬物療法の3つが柱となる」

また、支援の一例として、言葉の遅れに対しては、
言語聴覚士による言語リハビリテーションが行われることがあります。
リハビリの方法は流派のように多様で一概には言えませんが、
共通している考え方として「発達の最近接領域」を重視している点が挙げられます。

発達の最近接領域とは、簡単に言えば
「すでにできることを、少しの助けがあればできる範囲」を指します。
この考えに基づき、現在できることと、
支援によってできる可能性のあることを評価し、
訓練計画を立てていきます。

例えば、まったく言葉が出ない子どもに対して
いきなり言葉の復唱訓練を行うことはありません。
感覚刺激や聴覚刺激、揺れなどの平衡感覚刺激から始め、
外の世界への認知を促していくことが考えられます。

正常な発達に近づくことは理想ではありますが、
それ以上に、障害を抱えた子どもの可能性を
最大限に引き出していくことが大切だと考えています。

東洋医学的立場からの発達障害児への鍼灸

子どもへの鍼灸は一般的に「小児はり」と呼ばれています。

出典:『新版 東洋医学臨床論(はりきゅう編)』 南江堂
「疾患に直接アプローチするものではなく、
『よく寝る』『よく食べる』『快便』といった
心身の安定を図り、QOLを高めることで、
結果的に症状の改善に導くものである」

私自身も、心身のバランスを整え、
発達障害を抱えるその子どもなりの発達を
できる限り促していくことが、
鍼灸の大きな役割の一つであると感じています。言語聴覚士の立場から考えても、発達過程にあるお子様が良い睡眠をとり自律神経のバランスが整った状態で日常生活を送るなら、様々な発達が良い方向に伸びて行くと考えられます。

当院の発達障害への小児はり

当院では最新の技術を取り入れつつも、
伝統的な鍼灸を大切にしています。
鍼灸の重要な理論は古くから古典として伝えられ、
現在も受け継がれています。

東洋医学には陰陽五行という考え方があり、
肝・心・脾・肺・腎のバランスが重要とされています。
特に腎は発達と深く関わり、
脳との関連も深いと考えられています。

幸いにも、背中にはこれらのバランスを整えるツボが存在するため、
当院ではそれらを用いて施術を行います。

小児はりでは刺さない鍼を用い、
皮膚をなでる程度のごく軽い刺激を加えます。
当院でも刺すことはせず、
お子様に負担の少ない施術を行っています。

小児は大人よりも気の流れが早いとされているため、
施術時間は3〜7分程度で終了します。
これは発達障害を抱えるお子様にとっても、
ストレスなく受けられる時間です。

また、付き添いの親御様にも施術を受けていただけるよう、
頭鍼のオプションをご用意しています。
自律神経の調整や肩こり・首こりのケアに適しています。
小さなお子様の場合は、抱っこをしながら
親子で施術を受けていただくことも可能です。

当院では、余分な張り紙や置物を極力置かないようにしています。
言語聴覚士としての経験から、
自閉症やADHDのお子様に対しては、
視覚的刺激をできるだけ少なくした方が良いと判断しているためです。

ぜひ当院で、お子様が健やかに成長していくための
鍼灸を受けてみませんか。
身近な助力者として、心を込めてサポートさせていただきます。

執筆者

寺田 りょう(鍼灸師/言語聴覚士)
名古屋市南区「かけはしはり灸院」院長。
東洋医学と現代リハビリテーションの視点を融合させ、
心身のバランスを整える施術を行っています。

参考文献・出典

  • 発達障害者支援法(第2条)
  • 『言語発達障害学 第3版』 医学書院
  • 『新版 東洋医学臨床論(はりきゅう編)』 南江堂

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