Last Updated on 9月 27, 2025 by kakehasi
言語聴覚士&鍼灸師のダブルライセンス
当院の院長は、鍼灸師と同時に、失語症のリハビリの専門資格である言語聴覚士(ST)の国家資格を所持しています。東洋医学の専門知識はもちろん、病院勤務経験もあり、失語症に対するリハビリの臨床経験も豊富です。また訪問看護ステーションや老人施設でのリハビリ経験もあります。
西洋医学としてのリハビリ経験と東洋医学の両方の観点から施術を行います。
失語症とは
「病気がみえるVol7 脳・神経(株式会社メディックメディア発行)」によれば、
「失語とは、脳の損傷が原因で、読む・書く・話す・聞くなどの言語機能が失われた状態である」とされています。
つまり、脳卒中や神経難病による脳の言語機能の損傷が原因で起きる疾患です。
なお、心因的ストレスで突然声が出なくなるケースを「失語症」と言うことがありますが、これは医学的には正しくありません。
失語症の辛さ
失語症があっても、必ずしも認知機能全体が低下しているわけではありません。
私の臨床経験では、脳卒中による言語障害があっても、コース立方体など言語を必要としない認知テストでは高得点を取る方も多く見てきました。
見た目は問題がないのに言葉が出ず、仕事復帰を断念した方や、老人施設でコミュニケーションがうまく取れないために認知症と誤解される方も少なくありません。
言いたいことが頭に浮かんでいるのに、言葉にできないという状態は非常に大きな苦痛です。
西洋医学の現状
残念ながら、現在の医学では失語症に対する特効薬は存在しません。
一部の病院では「経頭蓋磁気刺激治療」が試みられていますが、実施している施設はごく少数です。
言語聴覚士が在籍する病院では、医師の指示で言語リハビリテーションが行われます。
「病気がみえるVol7 脳・神経」には「一般的には4〜6カ月程度でプラトーに達する」と記載があり、半年を過ぎると回復が難しくなるとされています。
当院のアプローチ
当院では、東洋はり医学会発行の「経絡治療要綱(福島弘道著)」にも記載されている脳卒中後の鍼灸治療を参考に、伝統的な経絡治療を中心とした施術を行っています。
さらに、脳や神経疾患に特化した頭鍼療法も併用し、改善に向けた総合的なアプローチを提供しています。
失語症ではないケースですが、脳卒中後の嚥下障害で、その場で大きな改善が見られた症例も経験しています。
鍼灸においてもできるだけ早期に、集中的に施術を行うことが効果的である点は西洋医学と同様です。
執筆者:寺田 りょう(鍼灸師/言語聴覚士)
名古屋市南区「かけはしはり灸院」院長