Last Updated on 10月 8, 2025 by kakehasi
はじめに
ご家族の方が認知症になると、ご家庭が非常に混乱するケースによく遭遇します。
私は鍼灸師であると同時に言語聴覚士の資格も所持していますが、言語聴覚士として認知症のリハビリを行っている際には、ご家族が介護に戸惑い、混乱されている状況に頻繁に遭遇しました。
さらにリハビリ職として施設に勤務していた時は、認知症の方の徘徊への対応に介護職の方が四苦八苦している場面にも何度も遭遇しました。
認知症とは
『病気がみえる Vol.7 脳・神経』(メディックメディア)では、認知症を「知的機能の後天的低下」としています。
つまり発達障害とは違い、一旦獲得した知的機能に障害をきたす疾患です。
主な症状
同書では、認知症の症状として以下が挙げられています。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 失語
- 失行
- 失認
- 遂行機能障害
さらに、行動・心理症状として「不眠・徘徊・幻覚・妄想」などがあると記されています。
私は病院や施設で、認知機能の低下が疑われる方の検査や、認知症の方の認知機能訓練・言語訓練を行っていました。
失行によって歯ブラシが使えず介助が必要になる方、失語でコミュニケーションに難渋する方など様々な症例を経験しました。
その際は、ご家族が戸惑わないよう症状を説明し、対応方法をお伝えしていました。
認知症の早期治療の重要性
『病気がみえる Vol.7 脳・神経』によると、アルツハイマー型認知症では発症の20年前からAβ(アミロイドβ)蛋白の蓄積が始まるとされています。
MCI(軽度認知障害)の段階で治療を開始することで発症を遅らせる可能性があります。
私も病院で認知症の検査を担当していましたが、HDS-Rという短時間テストのみでは発見しづらいことがありました。
記憶検査を追加した方が精度は上がりますが、現場では簡易的な検査のみで終わることもあります。
日常生活での異変を主治医に伝えること、専門的な病院を早めに受診することが早期発見のカギです。
東洋医学的見解
『新版 東洋医学臨床論(はりきゅう編)』(南江堂)では「髄海と呼ばれる脳も腎虚により滋養を失うと、ふらつきや健忘、反応の低下が起こりやすくなる」と記されています。
東洋医学では老化と腎の関わりが重視され、認知症や物忘れでは腎を補う治療を優先します。
当院の鍼灸治療
当院では伝統的な鍼灸術による五臓六腑の調整で腎を補うだけでなく、奇経治療・頭鍼治療などを組み合わせます。
特に督脈への治療を重視しており、実際に会話が円滑になった方や、施術後に「頭がスッキリした」と感じられる方もいらっしゃいます。
認知症の鍼灸治療は早期に始めることで効果が出やすいため、気になる方はお早めにご相談ください。
定期的に鍼灸を受けることで腎の衰えを防ぎ、認知症予防やアンチエイジングにもつながります。